江川卓さんは野球に縁のふかい名前



 
野球評論でおなじみの江川卓さん。
 この卓(すぐる)というお名前は、面白いことに、野球に縁があります。
 と言っても、「え? がどうして野球なんだ? 卓球じゃないの?」と思われるかたが多いかもしれません。
 じつは彼のお父さんは、大のマージャン好きだったようです。自分の息子が生まれたとき、いつものように麻雀をしていたお父さんは、たまたま目の前にあった麻雀の卓を見ながら、「おう、名前はだ!」ときめたといいます。
 「そんな乱暴な!」と思われるかもしれませんが、名づけというのはヘンにグチャグチャ迷いながらやるより、ご自分の感覚を正直にバーンと出すほうが、いい案がたくさんうかぶのです。
 このの字は、時代によっていろいろな書き方がされてきて、字の成り立ちもハッキリ解かれてはおりません。ただ、もっとも古い字は左のような形です。
 これ、いったい何をあらわすのでしょうか?
 しばしながめると、長い棒の先につけられたアミで何かをつかまえているように見えませんか。このの字は、「長い」「伸びる」といった意味で使われてきた字です。
 そこから「すぐれている」という意味もでて、「卓越」「卓見」などのコトバもでき、だからこの字をスグルとも読むわけです。そしてのはいる字はみな「長い」「伸びる」というイメージをもっています。たとえば、
 ……クチバシでつつく
 ……長い棒
 ……ぬきんでた人
 ……深く思う。 追悼(ついとう)、哀悼(あいとう)のコトバもあります。
 ……棒を振る
 こんなわけでというのは、長いアミ、長い棒をあらわし、だから長い足をもったテーブルのこともあらわすわけです。
 これはスポーツでいえば、いかにもバットを振る競技をイメージさせます。ちなみに野球のことを中国語で「棒球」と言うくらいです。
 このように、ご本人の生きかたとか活動分野を無意識に予知したような名前を、シンボル(象徴)名前といいます。これは歴史上にも、今の世の中にも、例はたくさんあります。
 ただしこれを占い・ゲームのようにとらえるとまちがえます。「わが子にの字をつけりゃ野球の選手になるんだ」などと逆のことはいえませんのでご承知おきください。