ジャッキー・チェンの名字は?



 むかし香港のカンフー映画「ドラゴン・シリーズ」で名をあげた
ブルース・リーという俳優は、本名を李小龍(リー・シャオ・ロン)といいました。もちろん中国での(リー)という名字を使って、ブルース・リーと名乗ったわけです。
 同じく香港のカンフー映画「酔拳」「蛇拳」などで有名になった
ジャッキー・チェンのほうは、中国名はあまり知られていません。まず名前ですが、これはいかにも香港生まれですヨ、といわんばかりの、港生という名前です。
 では名字は? やはりチェンが中国の名字をあらわしています。その名字は「
」。彼の氏名は陳港生です。
 じつはおなじ香港出身の歌手である
アグネス・チャンという人も、チャンが中国での「」という名字をあらわしています。本名は陳美麗といいます。
 どうしてこのように香港の人たちは、カタカナで表現したときに名字が残るのでしょうか。
 香港は、ながらくイギリスの統治下にあったこともあり、上流社会では中国人としての名前のほか、イギリス風の名前をもうひとつつくる、ということが広く行われていました。そして名字のほうだけは、中国式で残したため、「英語式の名前+中国式の名字」という表現が広まったのです。そこで
陳美麗さんがアグネス・チャンになり、陳港生さんがジャッキー・チェンになったわけです。
 ではなぜ同じ「
」という名字が、チャンになったり、チェンになったりするのでしょうか?
 これは中国にたくさんの方言があるからで、同じ漢字でも中国の地方地方によって、読み方がちがうのです。
 香港は基本的には広東語なので、
はChanと読むわけですが、じっさいはいろいろな地方の出身者が入りまじって住んでいた香港では、Chenになったり、Tanになったり、いろいろな読み方になってしまうのです。
 ところで、このように英語式の名前と中国式の名字をまぜるのは、台湾出身の人もやっています。(台湾はべつにイギリスやアメリカの統治下にあったわけではないのですが)
 かなり前に「魅せられて」という歌を大ヒットさせた歌手、
ジュディ・オングさんの場合、台湾での本名はオン・チェン・ユイといいますが、オングのほうに名字の(オン)の名残りがあります。
 そして「空港」「時の流れに身をまかせ」などのヒット曲を残した故
テレサ・テンさんもそうで、彼女の台湾での本名はテン・リー・チュンでした。