新知事は子育て本尊  橋下徹



 「行列のできる法律相談」で全国的な有名人となり、このたび大阪府知事となった橋下徹(はしもととおる)弁護士は、何をあらわす名前でしょうか。同じ名前の人は世の中に多く、いろいろな人がいますけれども、橋下氏の場合にかぎっていえば、生きざまをあらわすシンボル(象徴)名前に見えます。
 の字の成り立ちはつぎの通りです。左側(彳)はもとは交差点の左半分を描いたもので、「行く」の意味です。中央のの字の部分は、もとはさかさまの胎児と肉を描いたものです。右側(攵)は道具をもつ手で、「行動」を意味します。
 つまり
の字は、胎児が産道を通ることをあらわし、そこで日本でも「とおる」と読むわけです。轍(車の通ったあと)とか、撤(すりぬける)の字も同じ系統の字です。
 そうなると、7人の子を産み育てている橋下氏の生きざまはまさに名前の示すとおりです。
 ただし胎児が産道を通るのは、広い道をスイスイと行くのとちがって、せまい困難な道をくぐるわけです。橋下氏自身も、スイスイとラクに生きてきた人生ではなく、いろいろな世界で苦労を重ねた人生経験豊富な人です。そして、そのことにこそ意味がある、という価値観をよくあらわした名前でもあります。ただ、そのような価値観の人ほど、そういう生き方になりやすい、ということもいえます。
 子育てにどんな支援が必要かは、子育てで本当に苦労した人がわかることです。橋下氏が選挙のときから子育て支援を訴えてきたのは、けっして口先だけのことではないでしょう。

 いまや産院、小児科医、保育園の不足はますます深刻で、もはや「支援」どころか、必要最低限の数すらありません。まず物理的にそういう施設を早急に増やさなければなりませんし、子育てと仕事が両立する環境づくりも必要です。
 でもそれと同時に、一般の人が「子育ては世の中でもっとも大事で価値あることだ」というあたりまえの認識をとりもどさなければなりません。それも観念的にではなく、「子育て支援をおきざりにして無駄なことに一切税金を使うナ」というところまでみなの意識が徹底しなければなりませんが、それはそうカンタンではないでしょう。
 その意味で橋下知事には、まさに産道をくぐるような産みの苦しみが待っているかもしれませんが、ぜひとも大阪が少子化対策のモデル地区になるまでがんばってほしいものです。