和歌山カレー事件 林真須美・林健治 |
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1998(平成10)年7月25日、和歌山県園部地区の夏祭りのカレーにヒ素が混入されて多くの町民が中毒症状をおこし、そのうち4人が死亡しました。そして状況から「犯人はこの人しかあり得ない」としぼられたのが林真須美で、そのとき同時に数々の保険金詐欺の疑惑も浮かびあがってきました。 林夫妻の名前については「名前学」(全日出版)でも書きましたが、最高裁への上告が退けられて死刑が確定したのでもう一度とりあげてみます。私たちがもし裁判員になったとき、こうした動機のよくわからない事件に死刑判決を出すとなれば、だれしも悩むことでしょう。 ただ林夫妻は、ふつうの家庭にない猛毒のヒ素をもち、そのまわりに原因不明の病死者、発病者が何人もでており、多額の保険金や医療給付金を手にしていました。 そのなかには、たとえば35歳の男性に1億3000万円の保険をかけ、ヒ素入りの牛丼を食べさせた、など数件の殺人未遂事件があり、そのほかウソの報告により高度障害保険金1億3700万円や後遺障害保険金などをだまし取っており、偽装入院、替え玉受診なども明らかになりました。林真須美の母親までもが1994(平成6)年に保険がかけられ、その2年後になぜか急死し、真須美がとほうもない保険金を手にしています。 林夫妻はこれといった定収入もないのに豪邸でぜいたくに暮らし、毎月何十万円もの保険料を払い、10年ほどの間に計6億円の保険金を手にしていましたが、こんな不可解きわまることも、カレー事件が起きなかったら問題にならなかったのです。 彼らの名前についてですが、林夫妻のケースにかぎっては、結果からみて事件の内容をそのまま表しているシンボル(象徴)名前にみえます。 まず林健治の名前は、ずばり彼がかかわってきた「足の問題」をあらわしています。
治は、河べりに積んだ堤防のことで、水害をおさめることから「おさめる」「なおす」の意味で使われてきました。政治とか、治療の熟語にもなっています。 彼は真須美が足にやけどをして機能を失ったとか、自分も足を悪くして歩けないと言って病院や保険会社と交渉をし、まんまとお金をせしめ、マスコミの前では真須美にささえられながら庭を歩いて見せました。 ところが名前は何と「まっすぐ立って治っている」という意味なのです。歩けるものを「歩けない」と言い張ったサギ事件をずばり表しています。 つぎに林真須美の名前です。 真の字は大きな容器と、ヒシャクのようなものを描いていますが、これは当時テレビでよく見た、問題のカレーの鍋を連想させます。 須の字のもっとも古い字は、長い髪をなびかせた顔を描いています。頭の部分をあらわすことから「固まり」という意味があり、髪であることから「細かい」という意味もあります。 この「細かい」「固まり」という二つの意味は、じつはヒ素の物理的性質でもあります。ひ素は、細かい固まり、つまり結晶状の粉です。 ですから真と須を組み合わせた名前は、林真須美の場合にかぎっていえば、「容器」+「結晶状の粉」で、いかにもカレーの鍋とヒ素をあらわす名前になっているのです。 もちろん「こういう名前だから事件の真相はこうだ」などと決めつけることはできません。ただ、彼らが逮捕されたという結果からながめますと、林夫妻の名前をつけた親たちは、まるで彼らが将来かかわる事件を無意識に予知していたみたいです。 これがいわゆるシンボル(象徴)名前ですが、なぜそのような名前が世の中に存在するのか、それは解きようのない神秘です。 なおこうした事件のたびに動機がよく問題にされますが、たしかに動機がわからなければ事件はわかりにくくなります。でも、凶悪犯罪をおこす異常な人間の心理というのは、私たちふつうの人間にはわからなくてあたりまえです。裁判というのは、犯人を理解してさばけるとはかぎらず、理解のできない異常な行動をさばかなければならないこともある、ということでしょう。 |
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