ツリーとタワーと塔はどうちがうか |
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日本一の高さのスカイツリーが建設中で、完成すれば新しい観光地となって多くの人でにぎわうことでしょう。このスカイツリーという名前は、言うまでもなく「天まで伸びる木」という意味であり、たまたま高い鉄塔に木という言葉が使われて名づけられただけです。 ところでむかし昭和33年に東京タワーが完成し、戦後わずか13年で、一度焼け野原になった東京に世界一の鉄塔を築き、日本人の底力を見せつけました。当時はいまほど英語が日常的でなかったので、「○○塔」という候補名がたくさん出されましたが、最終的に東京タワーという名前に決まり、つぎに京都駅前につくられたものも京都タワーと名づけられました。 そんなことから私たちは、英語のタワーが日本語の塔だ、と思いやすいのですが、じつはどちらも外国語であり、どちらも今とちがう意味だった、ということはあまり知られていません。 ではタワーとはそもそも何だったのでしょうか。それはもとは、建物の一番高い所をさす言葉で、物見台、時計台、展望台、といったものを想像すれば近いでしょう。それがいつしか独立した鉄骨造の高い建造物をさすようになったわけです。 では「塔」とは何でしょうか。この言葉のはじまりは、インドのストゥーパという言葉です。それが中国語に音訳されて卒塔婆(そとうば)と書かれ、これがだんだんちぢまって 卒塔婆 → 塔婆(とうば)→ 塔 というふうになったわけです。 ストゥーパとは、はじめはお釈迦さまの遺骨をまつった建物でした。それがいろいろな国に伝わって、さまざまの形になりました。日本の五重の塔や三重の塔、高野山の多宝塔などは、ストゥーパの変化した形といわれます。 ですから「塔」とは、もとはお釈迦さまを記念した建物のことです。それがまわりまわって、いまでは鉄骨造の高い建物までさすようになったのです。 そんなわけで、いまの日本ではタワーと塔が同じ意味で使われているのです。 この塔とかタワーという言葉を使わなかったのが、大阪の「通天閣」です。
各の部分の古い字体は、足がモノにぶつかるような絵になっていて、「直接つながる」「ドンとぶつかる」というイメージをあらわします。路(近道)、略(近道を行く)、絡(つながる)、客(ドンと入ってくる人)、落(水がポトンとおちる)の字にも含まれています。 閣とは、各と門を合わせ、地面にどっしりと乗っている建物のことです。通天閣とは、天に通ずる大きな建物という意味になります。 ところで余談ですが、日本ではもうひとつ、わけのわからないことが起きています。それは塔婆(とうば)という言葉が、とんでもない意味になって使われていることです。いまいっぱんに塔婆といえば、お釈迦さまをまつった建物とは関係なく、お墓にかざる板キレをさします。あの板キレは、この世の5つの要素をあらわす五輪塔(ごりんのとう)という石造品をまねたもので、板の上部を五輪塔のようにきざみ、五輪をあらわす梵字が書かれます。 そういう板がなぜ塔婆と呼ばれるようになったのか、そしていつ、だれがそれをお墓にかざりはじめたのかについては、よくわかっておりません。 わからないことはともかくとして、このように言葉の流れ、名前のつけられかたというのは、その時々のモノのはずみで何がおき、何が広まるかわからないわけです。 もし塔婆がお墓にかざる板のことではなく、高い建物の意味で使われていたら、いまごろ私たちは「ロンドン塔婆」「エッフェル塔婆」などと呼んでいたかもしれないのです。 そしてスカイツリーが世界的な名所にでもなったら、何百年かのちにはツリーという言葉が「塔」の意味で使われることだって、絶対無いともいえないでしょう。 |
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