振り込め詐欺に遭う名前



 振り込め詐欺の犯行グループが個人名電話帳を利用していることが分かり、警察では個人名電話帳の登録をやめるようお年寄りに働きかけている、という報道が最近ありました。
 犯行グループが高齢者を見分ける手口は共通していて、「エ」「枝」「代」などの字を含む女性は、夫と死別して一人暮らしをしている確立が高いとにらんで、ターゲットにしているということです。
 ただそんなことは犯行グループがわざわざ自白しなくてもあたりまえのことで、電話帳に女性名をのせていること自体、ご主人が同居していない可能性が高いのです。しかも「エ」「枝」「代」などの字は、最近の名づけではまったくといっていいほど使われない字です。そういう字が入る名前はおおむね30代以上の女性で、お年寄りほど多くなります。
 ただし名前にそういう字が入っていなければ大丈夫、などと安心はできません。犯行グループがくわしく言わないだけで、彼らは当然、お年寄りの女性に多い名前をほかにもたくさん知っているはずです。
 たとえば「エ」の字があろうがなかろうが、カタカナ2文字の名前というのは、明治、大正のころに流行しましたので、いまでは80代以上の人に多いことになります。もっともそこまで高齢になるとだれかの介護を受けている人が多く、ニセ電話を受けて一人で銀行へ飛んでいくこともないかもしれません。
 また昔よく女性の名前に使われ、最近ほとんど使われなくなった字は、「枝」「代」のほかにもあります。たとえば「淑」「君」「重」「松」「梅」「節」「富」「増」「正」「貞」「孝」「照」「絹」「繁」「信」、といったような字です。こういう字が名前に入っていたら、たまに例外はあるにせよ、若い人は非常に少なく、お年寄りほど多いといえます。
 ただし「一人暮らしの時の安全のために」といって、女の子に男性とまちがえるような名前をつける人もいますが、それはおかしな名づけです。安全のためなら電話帳に登録せず、男性の名前の表札もついでにかざっておくほうが有効で、本名そのものを男女わからなくするというのは本末転倒です。
 ちなみに今年は国勢調査も行われますが、最近は個人情報をタテに提出を拒否する人もふえているようです。国が保管するデータが悪用されることはないとは思いますが、ただし有効利用されている様子もなく、何のためにやっているのかわからないのは確かです。国勢調査の結果にもとづいて介護施設や保育園を増やしてくれる、失業対策をしてくれる、というふうに政治や行政にしっかり反映されるなら、だれもが納得できます。
 でもいまの日本の状況はちがいます。たとえば100歳以上の高齢者が23万人も行方不明で、もし90歳以上の人まで調査したら、生死のわからない高齢者は100万人をこえるかもしれず、まさに先進国では考えられないような国になっています。そんな状態での国勢調査に何の意味があるのか、ともいえます。
 そんな中、たとえ電話帳に登録していなくても、しつこいセールスの電話に迷惑するくらいですから、うかつに電話帳に名前や住所などのせたら何が起きるかわかりません。警察が言うように、とくにお年寄りのかたは早急に電話帳の名前を消したほうが安全かもしれません。