よい名前は よい名づけから



 ●基本と注意点


 
 
 
 









 

  





      ■ 名づけの注意点Q&A (ちょっと待って! その名づけ)


      
      
                 1 真実の名づけが守られているか

 たとえば名づけで、こんなことはおきていませんか?
   ★世間で見たり聞いたりする話が気になる
    ★まわりの人と名づけの話をし、候補の名前をしゃべる
 名づけはご自分がどんな名前が好きか、どんな名づけをしたいかというホンネが大切です。うかつに人と名づけの話しをしたり、他人の話を基準にするのは危ないことで、たとえばつぎのような話をあびせられて混乱する人が多いのです。
花をあらわす字は入れちゃダメよ (散るから)
濁音を入れちゃダメよ (名前がにごる)
サンズイは使っちゃダメよ (水難にあうから)
字画はちゃんと合っているのか (運が悪くならないように)
1字名前はダメだよ (片足で立つ人生だから)
季節の字は入れちゃダメよ (移り変わるから)

左右対称の字がいいよ (安定して運がよくなるから)
 失礼ながらこうした連想ゲーム、縁起かつぎのような話は、まともな名づけの知識とは関係ありませんし、また字画占いをする、しないは自由で、他人から強要されることではありません。日本は名づけで大きなハンディのある国だということをよく知り、ぜひご自分のホンネをはっきりさせてください
         欧  米            日  本
 表音文字なので、音の響きがうかべばすぐ名前がつくれる  漢字の数が多く、たくさんの読み方や意味があるので、字のえらび方がむつかしい。
 専門家の書いたレベルのいい名づけの本がカンタンに買える。他人への口出しは越権行為、悪事である。  雑多な話が洪水のようにあふれ、うるさく口出しをする人も多く、質のいい情報をみつけにくい。

                 2 正しい名づけが守られているか

この20のうちで、難点のある名前がいくつあるでしょうか?
圭太(けいた) 伊織(いおり) 沙弥(さや)  理緒(りお)   (れん)
海月(みづき) (ひろし)  大夢(ひろむ) 陽奈(はるな)  早世(さよ)
日向(ひなた) 理樹(りき)  澪香(みおか) 颯斗(はやと)  蒼平(そうへい)
夏織(かおり) 心菜(ここな) 海翔(かいと) 僚太(りょうた) (ひかる)

 同じ名前のかたもいらっしゃるので数だけ書きますが、上のなかの約10個の名前には難点があり、本人を苦しめたり、人に迷惑をかけるおそれはあります。そのうち5つはかなり致命的です。
 難点のある名前はたくさんあり、人気の名前の中にもあります。ただ難点をチェックするには専門知識が必要で、マニュアルはありません。専門家は難点のある名前を見ればすぐわかりますので、心配なかたは名づけ相談をしていただく方法もあります。
 でもそのまえに、
名づけはまじめにやればいいのです。「本人が喜んで使える名前を」「人に迷惑をかけない名前を」という気持ち、気づかいがあれば、そうひどい失敗はしないものです。でももしも、
  ★親の権利だから、どうしようがかまわない
  ★読みにくい名前は個性的だ。男女をまちがえてもかまわない。
といった感覚で名づけをしたら、人が一生使う大切な名前、変えることのできない社会の共有物を粗末にし、乱暴にあつかうことになりますから、どんな大きな難点がでるかわかりません。
 いちおうチェック項目をあげればつぎのようになります。太字はとくに要注意です。

奇抜すぎませんか
 
奇抜で脱線したような名は、親は面白がっていても、本人は面白くも何ともありません。
名前にふさわしい字ですか?
 
漢字はふつうの辞典ではわからない、思わぬ意味をもっていることがあります。そのほか悪い意味はなくても、名前に使うときにウラの意味を考えなければならない要注意の字、また成り立ちの上から不適当な字もあります。
名字と合わせておかしく聞こえませんか
おかしな意味の熟語になっていませんか
古風で年輩の人のように見えませんか
イニシアルは?
あだ名になるようなことはありませんか
発音しにくく、聞きとりにくい名前があります
他人に読んでもらえますか
 人に読めなければ名前としての役割をはたさず、何のための名前かわからなくなります。
読みかたはまちがっていませんか?
姓と名の区切りはまちがえませんか?
男女をまちがえませんか
 男女さかさまの逆性名前、男女両方に使われる混性名前を気がつかずにつけてしまうことも…。
似た字と見まちがえられる字があります
活字に変換できない漢字もあります
 手書きでしか書けない名前は社会生活で非常に困ります。
電話などで説明できる字ですか
外国語でヘンに聞こえる名があります
 
まぬけ」「あばずれ」「気ちがい」「酔っぱらい」「」「てめえ」「陰毛」…
 まさかこんな名前は日本にないでしょうが、日本でふつうの名前が外国でこのように聞こえることがあります。こういう例は多いので気にしてもキリがありませんが、ご本人に「この国では使わないように」と、要注意の国を教えておいたほうがいいでしょう。

                         Q&A

 ホンネが大切とは、具体的にどういうこと?
 ご自分がどんな名づけをしたいかがハッキリしないまま、やみくもに情報を集め、まわりの人とやたらに名づけの話をしますと、必要のない知識や有害情報までたくさんあびてしまい、混乱してしまうことも多いのです。ご自分がどういう名づけをしたいのかによって必要な情報はちがいますし、それがハッキリしてこそ本当にナットクのいく名づけになるのです。

 候補の名前がうかびません。どうすればいい?
 よび名がうかばない場合、いくつかのケースがあります。
 ★「かわいい名前を」などと、希望が抽象的
 「○○でない名前を」と否定文で考える
 ★いきなり決定案を出そうとする。
 ★まわりの口出しや、世間の話が気になる
 ★いきなり漢字で書こうとする
 もし思いあたるようでしたら発想をかえるといいでしょう。「ユウで始まる名前を」「カで終わる名前を」というふうに、具体的な条件で、ひらがなで書き出すことです。
 またよび名がうかばないなら、自然のイメージから作るなど、ほかの方法のほうが合っているかもしれません。

 健康で思いやりのある人間になってほしいのですか、いい名前はある?
 じつは「こんな子になってほしい」という発想の名づけは、世間ではほめられますが、これは結果がウラ目に出るケースも多く、プロはこわくて「やりなさい」とは言えないのです。お子さんへの希望、名前の希望というちがう話をまぜると、どちらもシリキレトンボになり、名前へのホンネが自分でもわからなくなってしまいます。お子さんへの希望をもつことはけっこうですが、名づけでは、名前そのものへのホンネをぜひ出してください。

 有害情報と正い知識は、どう見分けるの?
 専門知識がないと見分けにくいですが、正しい知識は、聞くと肩の荷がおりてスッキリするものです。逆に聞いてもよくわからず、名づけが重苦しくなったら、有害情報と思っていいでしょう。現に名づけがやりにくくされているのですから…。
 また人から「名づけはこうしなきゃいけない」と言われた場合も、その人が「そうすればこんないい名前ができるよ」と実例を示せるかどうかです。実際に名前をうまく作れないなら、言っていることがウソになります。


 子供が「字画が悪い」と気にしたら、本人を無視した名づけになりますか?
 自分の名前を「字画が悪い」などとぼやく人はたまにいますが、それは名前そのものへの不満ではなく、その名前を悪くいう占いを信じているだけです。占いを信じるのは本人の勝手で、親に責任はありません。占いには流派が多く、どんな名前をつけても、どこかの流派でかならず悪くいわれます。

 ホンネが大切というのは、ふざけた名前でもホンネならいいの?
 そういう名づけをしたがるのは、ホンネとはちがう心理です。ホンネは、喜びや感謝とともに出るのがホンモノで、「名前で笑われてもいい」「不便で困ってもいい」という発想とはちがいます。ここを誤解するといけないので、さらに名前自体に難点がないか、というチェックも必要になってくるのです。
<専門家の失敗談> ある人が名づけ相談で、奇抜すぎて読みようのない、ふざけたような名前をひとつだけ持参し、「字の意味はいいですか?」と聞きました。「はい…」と言いながら話を続けようとしたら、「わかりました、すいません」と言って逃げるように帰ってしまいました。おそらくその名前が周囲から反対されるとわかっているので、「はい」の一言をひったくって、「専門家がいいと言った」と言いふらすつもりなのでしょう。
 それからは字の良し悪しを聞かれても用心して、「名前の話は別として、字の意味だけにかぎっていえば問題ありません」というふうにお答えしています。


 最近あて字を使う人が多いですが、これは許されるの?
 漢字には音、訓、名乗りの3つの読み方がありますが、ただし、そのほかのまちがった読み方の名前を禁止する法律もありません。ですから現実には、出生届の名前のふりがなを審査しない役所も多く、まちがった読み方の名前もたくさんつけられています。
 でも本当は、名前の読み方について法律でわざわざ決めていないのは、親の良識にまかされている、ということです。モラルの低下が叫ばれる現在、たしかに良識のない名づけもふえていて、世の中の多くの人が迷惑していますので、禁止する法律を作ったほうがいいのかもしれません。ただ、法律で禁止されないとやめられないというのも情けない話ではありますが…。


 男女逆の名前は有名人にもいるし、カッコよくてかまわないのでは?
 有名人はいいですが、一般の人が男女さかさまの名前をもったときの混乱や苦労は、本人にしかわかりません。たとえば、お子さんに男女さかさまの服をきせて歩かせ、「おしゃれでいい」と言ってみても、本人が「侮辱された」「虐待された」と感じたら、それが侮辱であり、虐待なのです。まして服とちがって、名前は一生変えられないものです。カッコいいかどうか、かまわないかどうかは、名前をつけるがわがカッテに決めることではないのです。

 なぜ外国語まで気にする必要があるの?子供は海外で活動しません
 必要ない人もいますが、だれに必要か、必要ないかが予測できないのです。留学、海外出張、国際交流、国際会議、国際試合などが多い時代、「うちの子だけ関係ない」とはきめられません。もちろん世界中のコトバを気にしたら名前はつけられなくなりますので、ご本人が要注意の国を知っておいて、必要なときにはべつの名前を使えばいい、ということです。そういうわけで名づけ相談では、候補のお名前に要注意の国があれば、いちおうコメントはしています。
 名づけ相談では何も言わなくても何かいい名前を教えてもらえるの?
 「何かいい名前」ではクモをつかむような話ですので、「こんな名づけをしたい」「こんな音がすきだ」という希望や条件を出していただけば、それにそったご回答ができます。まったく何も言わなければ、専門家も何を説明していいか、どんな資料を出していいかわかりません。

 すきな名前をカッテにつけて、名前に問題は出ない?
 そのように心配するかたも多いですが、発想をあらためてください。親が自分の子に好きな名前をつけてよぶのは当然のことで、それが名づけの基本です。好きでもない名前をつけたら、そのほうがよほどおかしな名づけです。
 もちろん好きな名前なら何でもOKということではなく、名づけで注意すべきことはいろいろあります。でも、やみくもにまわりの人と名づけの話をしたり、情報集めをしますと、質の悪い情報までたくさんかかえこんで、感性を悪くしてしまうことも多いのです。まず、ご自分のホンネがはっきりしていてこそ、自分に必要な質のいい情報が手にはいり、難点のない名前がつくれるのです。


 親と同じ字を使うと親を超えられないと聞きますが、本当?
 これは世間でよく耳にすることですが、親を越えるだの越えないという、意味のわからない話は聞き流したほうがいいでしょう。なおその話とはべつに、父親が男の子に自分と同じ字を強硬につけたがる場合だけはちょっと注意が必要です。その場合、父と子が離れる不安をかかえていて、同じ字を使って安心しようという心理が働いていることがあります。そういう名づけは一種のまじないになり、不安の通りの結果になってしまうこともよくあります。

 私は専門家のつくった名前からえらびたいのですが…
 それでしたら名づけ相談で名前の条件を言っていただくか、専門家の書いた名づけの実例集からえらんでいただくことになります。ただ、名づけはあまりむつかしく考えず、ご自分で楽しみを味わいながらいろいろな名前を作っていただくことに意味があり、大切なことではあります。

 おじいちゃん、おばあちゃんが名前をおしつけてきます。どうすればいい?
 「ありがとうございます。候補に加えます」とていねいにお礼を言って聞き流し、それ以上名づけの話はしないことです。名前をおしつけるような人とは、話をするほど話がこじれ、トラブルに発展します。
 
口出しは まじめな顔で うわのそら
 まわりの人には、出生届を出したあと事後報告だけをしましょう。お年寄りには「ある神社(行かなくてもいい)でこの名前をすすめられた」とか、「先祖が夢(見なくてもいい)でこの名前をつげた」などと、神がかったことを言うほうがナットクしてもらえます。

 名前の読みかたが正しいかどうかは、どうやってチェックするの?

 漢字は、音、訓、名乗りの3つの読みかたがあり、名前ではその範囲が正しい読みかたとみなされます。辞典のなかには、音、訓、名乗り(人名という表現になっているものもあります)の3通りの読みかたをのせているものもありますから、そういう辞典を使えばチェックできます。


 第二子に「一」の字を使ってもいい?
 昔は家の跡取りを世間に示すために、長男(第二子でも)に一の字をよく使いましたが、家制度のない今では生まれた順序と関係なく使われていて、女の子でも一葉、一那などの名もあります。どの子にも自由に使ってかまいません。

 名前の読みかたは規定がないから、どう読ませても自由だって本当?
 そういう話がよく流れますので、お気をつけください。文字というのは読み方がきまっているから役目をはたすので、個人が「こう読むんだ」とカッテに変えたって、どこにも通じません。
 名前の読みかたの規定がない、ということは、役所が読みかたの審査をしなくてもいい、というだけのこと。まちがった読み方の名をつければ、百%、親の責任になります。字の読み方まで法律でしばられないと、正しく読める名前が作れない、というのでは、親として悲しいと思いませんか?


 男女兼用の名前はなぜいけないの?
 物理的にみても、あちこちで男女をまちがえられ、他人を混乱させて迷惑をかける名前になりますから、やめてほしいことですが、心理的にはもっと深い問題があります。
 それは第一に、親が迷惑行為に鈍感ですと、それがお子さんの人格形成に影響するおそれがあることです。そして第二に、お子さんが「親から男性、女性としてみとめられていない」と感じたりしますと、ある種の情緒障害につながるおそれもあるということです。
 心理問題に関心のないかたからは、「何で名前で男女を区別しなきゃいけないの」「問題がおきていない人だっているじゃないか」といった反論も出ますが、でも事故や犯罪に関係する人の中にそういう名前の割合が多いのも事実なのです。男女まちがえる名前を気がつかずにつけてしまって後悔するかたもいますが、わかっていて平気でやるというのは問題でしょう。